こしの痛み ~姿勢を考える~
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腰痛・・・
腰の痛みは、『二足歩行能力』を獲得した人間だからこそ起こる痛みでもあります。
人間と反対に四足歩行を行なう動物は、
前足を動かしている“肩”と、後ろ足に繋がる“腰”の二箇所に自分の体重を分散して支えています。
一方、二足歩行する人間は、腕を使わず自分の体重を“足腰だけ”で支えています。
単純に考えますと人間が行っています二足歩行は、
一般的な動物が行う四足歩行の『2倍の負担』が足腰にかかっていることになります。
直立して *上半身の重さが、常に腰に負担をかけているのです。*全体重の約60%
したがって、「人間は身体構造上、腰痛が発生しやすくなっている」ということです。
腰の痛みは、人間がこの世に生を受けてから、遅かれ早かれ、
ほぼ全ての人が経験するものでもあります。
その原因は、
①スポーツなどの場面での急激な負荷や、無理な動作を続けたことによるもの
②立ちっぱなし、座りっぱなしといった日々の仕事の中で蓄積された疲労によるもの
③精神的なストレスが原因になり、自律神経の異常が引き起こすもの
④内臓などの疾患によるもの
そして
⑤姿勢
です。
腰痛とは、その名の通り「腰が痛い」ことをいいますが、
痛む部位は腰やその周辺だけではなく、臀部(お尻)や脚にまでも及んできます。
その痛みは、激痛、重い痛み、電気が走ったような痛み、ギクッとするような痛み・・・
などさまざまですが、
中には、「なんとなくだるい」といった症状まで含まれるのが腰痛です。
その大半は医療の助けなしで、自然に治ってしまうものですが、
中には重大な骨の障害、内臓の疾患につながっているケースもあり、
軽くみていると、取り返しの付かないことになりかねません。
慢性化すると、日常生活に支障をきたし仕事も制限され、
また、自由にスポーツを楽しむこともできなくなってしまいます。
見逃してはいけないのが、
前かがみの姿勢など、無理な姿勢、また姿勢の崩れが
椎間板を含めた、脊柱に大きな負担をかけています。
【腰痛と姿勢】
スウェーデンの整形外科医ナッケムソン氏が、いろいろな姿勢による椎間板内圧の変化を
測定しました。
立っている時を仮に100とすると、前かがみの姿勢が150、前かがみで物を持つとさらに負荷が225まで跳ね上がると発表しました。
また、驚くことに、(真っ直ぐに立っていることよりも)椅子に座っている姿勢そのものが、
腰に負担をかけている点です。
◆アルフ・ナッケムソン(Alf Nachemson MD, PhD、1931年6月1日 - 2006年12月4日)…
スウェーデン生まれの整形外科医師。
Professor, Sahlgrenska University Hospital and Göteborg University。
腰痛の原因解明と治療に多大な業績を残しました。
「腰に負担がかからない姿勢を取ること」の大切さを広めていきました。
ナッケムソン氏を代表に、ヨーロッパでは早くから『腰痛の原因が姿勢にある』ことを
突き止めていました。
その結果、仕事の場面でも姿勢に留意することで、(欧州全体での)腰痛患者は激減しました。
しかし、日本では未だに、腰痛を訴えて診察に来た患者に対して、
レントゲン写真などを通して原因が見られなければ、“患者”としてみなさずに
「対処をしない」場合が多いのが現状です。
その結果、日本は一説には、全人口の8割以上が腰痛を患ったことがあるともいわれています。
欧州では就労者のうち腰痛を患っている人は30%程度。
日本とは大きな違いが見られます。
このように、姿勢への留意が乏しい日本は、腰痛大国であり、
姿勢に留意している欧州では腰痛患者が少ないことを考えますと、
『姿勢を正す』ことで、腰痛を発症する確率は格段に下がるといえるでしょう。
現在、腰痛に悩んでいる場合でも、日々の姿勢を改善していくことで
痛みが緩和されていくことが期待されます。
腰痛には様々な原因が存在しますが、腰痛が姿勢と密接に関わっていることは
先にも説明しました通り、欧州はもとより、世界共通で認識が一致しているところです。
「正しい姿勢」、「綺麗な姿勢」ということを考えますと、
多くの方が“辛い姿勢”というイメージを持ってしまいますが、実際は違います。
正しい姿勢こそが、実は身体の無駄な部分に力が入っていない状態で、
体重がまんべんなく分散されている状態です。
そのため、姿勢を正すことで身体の疲れやだるさも解消されます。
【正しい姿勢】
◎立っている時の正しい姿勢とは?
立っている時には、腹部に力を入れた感じで、少しアゴを引くことです。
『頭頂部を上から糸で引っ張られているようなイメージ』で背筋を伸ばすと良いでしょう。
さらに具体的には、「足の裏から頭頂部までが、一本の糸でつるされているような感じ」です。
一方で、肩や足などに力を入れないことです。
あくまでも力は抜いて、自然体の中で、上記のポイントを意識することが大切です。
また、歩いている時の姿勢が正しいかどうかは、普段履いている靴の裏を見ることが、
ひとつのチェックになります。
正しい姿勢で歩いているのであれば、靴の裏の減り具合は全体的に均等に減っていきます。
偏りの中でも特に多いパターンが、かかとの外側を中心にすり減っている場合です。
この場合は足を地面につく際に、足首がゆがんでいる可能性が考えられます。
この癖を長い間続けていると、O脚と呼ばれる、
「直立した時に両膝が接着しない」外側に湾曲した形になってしまいます。
歩くときにはしっかりと踵(かかと)から、
そして真っ直ぐに接地するように心がけることが大切です。
◎座っている時の正しい姿勢とは?
腰痛を抱えている場合は、背もたれ付きの椅子に座るようにすることが、ひとつのカギになります。
座る際には(一旦前傾した体勢で)深く腰を掛けてから、骨盤を立てるように背中を起こします。
そして、背もたれにもたれかかりすぎない程度に、軽く背中を添えるようにして、
立っている時と同様に、『頭の上から糸でつりさげられているようなイメージ』を持って、
背筋を伸ばすとがポイントです。
脚を組むことは、骨盤や背骨がゆがむ原因になりますので、控えるようにします。
「腹筋や背筋が衰えるから」という理由で、
まれに椅子には浅く腰を掛け、あえて背もたれを使わない座り方をする人もがいますが、
腰痛を抱えている人にとっては、 椎間板への負担が強い座位ですので、
背もたれは効果的に利用するようにしましょう。
ごく当たり前のことですが・・・
机で勉強や仕事などをしている時に、前かがみにならない。
また、パソコン作業などで疲れてくると、体を前に倒してひじを机についた姿勢で仕事をする姿勢は
腰にとって、とても負担の大きい姿勢です。
反対に、椅子に浅く腰かけて、背もたれにベッタリともたれ掛かる姿勢も、
“猫背”になる大きな要因となります。
人間が、起きている時に最も多くしている姿勢、
「立つ」
「座る」
姿勢 を考えてみました。
これは、スポーツを行う時も全く同様です。
『頭の上から糸でつりさげられているようなイメージ』を持つこと・・・
これが腰痛の発症率を下げ、運動時のパフォーマンスの向上にも繋がります。