肥満を考える ~体重増加が引き起こす痛み~
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秋も一層深まり、店先にも美味しいものが出回ってきました。
味覚、食欲の秋・・・。
「食欲の秋」と呼ばれる由縁は、諸説あるようです。
秋は様々な植物にとって、“実りの季節”です。
また、魚や肉の収穫時期も秋に集中しています。
そして、この美味しいものに対して脳が刺激されて
「食べたいな」という衝動にかられる・・・
とても自然な理由。
次に、気温変化に対する身体の反応が挙げられます。
気温が下がると、「体温保持」のため“身体の熱産生”が高まり、
それに伴い基礎代謝が上がります。
夏に低下した基礎代謝が、秋から冬にかけて上昇することは、過去の文献でも示されています。
基礎代謝が上がれば、それだけエネルギーを多く使ってしまうため、
「その分の栄養を補給しよう」
と(体が欲して)お腹がすくという理由。
(●ただ、近年ではエアコン等空調機能の発達で、季節変化による基礎代謝への 影響はほとんど考慮しなくてもよいのではないかともいわれています)
最後に、日照時間減少・照度低下によるセロトニン分泌低下があります。
夏から秋になると、日照時間が減少して明るさが低下します。
そこで、関係してきますのが、脳内の神経伝達物質のセロトニン。
このセロトニンは、食欲の調整にも深く関わっているため、
日光に当たった時間によって、分泌量が調整されることがわかってきました。
日を浴びることが少ない秋には、夏に比べセロトニン分泌量は減少してしまいます。
この日光に当たる以外に、セロトニン分泌量を増やす方法のひとつとして、
セロトニンの合成に必要な材料を含む栄養を、食べ物から摂ることです。
(⇒牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品や、豆腐・納豆・しょうゆ・味噌などの大豆製品。
さらに、カツオ・マグロなどの魚類、アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類、バナナや小麦胚芽、卵など)
秋になると食欲が増すのは、たくさん食べたり眠ったりすることにより、
セロトニンを増やして、精神の安定を保とうとする・・・
これも人間の体から起こる、自然の行動かもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、“食べる”ということは、『人間が行う自然な行動』です。
そして、栄養、すなわち人間が生命を維持し活動し成長をするために、必要な栄養素を摂るという、生きるためにとても重要な行為なのです。
ただ、その食事が自分に対して、災いとなることもあります。
そのひとつが、偏った食事による肥満です。
今回は肥満になると、何が困るのか・・・
まず、“身体の痛み”を考えたいと思います。
人間の体の重要な部分である下肢は、
立っているときや、歩いているときに“体重を支える役割”を持っています。
その重さを直に担っているのが、下肢の各関節です。
まず、股関節。
次に、膝関節。
最後に、足関節(+踵)。
例に挙げますと・・・
股関節への負担は、
歩いている時は、体重のおよそ3倍
立ち上がる時は、体重のおよそ6倍
・・・
膝関節への負担は、
階段の上り下りでは、体重のおよそ7倍
走っている時は、体重のおよそ10倍
・・・。
足関節に関わります踵(かかと)の骨。
その人間の踵骨は一番大きく、
「足の骨全体に対する踵骨の割合は50%」です。
ちなみに、ゴリラは40%、チンパンジーは33%です。
それは、直立して生活をする人間の体重負荷率を考えますと明らかです。
人間の踵の骨には、体重が大きくかかっており、
『体重の約8割を受け止めるような構造』になっています。
歩いたり走ったり、あるいは階段を上り下りしなくても、
『下肢には大きな荷重、すなわち体重がかかっている』のです。
当然、体重が重くなるほど、その負担は増してしまいます。
さらに、動作が加わりますと、負担はさらに増加します。
例えば、歩行の際は計算上、
『体重がたった1kg増えるだけでも3kg分の負担が増します』。
それら下肢の関節の痛みを和らげるために、
医療機関等ではサポーター、テーピングなどの使用を勧められることもあります。
しかし、その痛みを改善したり防いだりするために、
その方法は・・・対処療法でしかありません。(◆根本解決にはなりません)
痛みの改善にはまず、自身の体重を考える必要があります。
肥満があると、上述の通り、腰、膝、足首に大きな負担がかかります。
そこで、
『生活習慣の改善』
は欠かせません。
ただし、食事制限だけで体重を減らそうとすると、
日常生活を行う上にはもちろん、
スポーツを行う上において必要な、筋肉が落ちてしまいますので逆効果です!
そして、
日に日に成長する体のためにも、栄養(食事)は欠かせません!
“1日3食を規則正しく摂る”ことは、必要不可欠です。
食べるということについて留意することは、
●むやみに間食をしない(*間食の内容を考える)
●夜寝る前に食べない
ことです。
そして、
適度な運動をすることです。
まず、年齢や体力に見合った運動を行うことです。
✕ 摂取する総カロリー > 運動
◯ 摂取する総カロリー = 運動
体重過多が気になる方は・・・
運動(◎身体を動かす割合)を増やす意識を持つことが大切です。
体重が増えることは、
身体(*特に下肢の骨格や関節)に大きな負担がかかり、
それが成長期であれば、
身体面の違和感、“痛み(成長痛)”として現れることも多々あります。