タイトネス ~筋の柔軟性の問題~
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「あなたは、しゃがめますか?」
という問いに、
「そんなこと、簡単ですよ!」
という答えが、すぐに返ってくることでしょう。
しかし・・・
『お尻を完全に下まで下ろして、踵(かかと)を地面から離さないで』
という注文をつけますと
“できない”
ということになる人が多いかと思います。
今回のタイトルは、
『タイトネス』。
この聞き慣れない言葉を、近年の子どもたちの現状も交えて書きたいと思います。
長年、運動指導をしていますと、
時代の変化と共に子どもたちの異変に気づかされる時が多々あります。
例えばそれは、ウォーミングアップの準備運動の様子を見ても明らかです。
📷
〚脚を揃えての屈伸〛
〚深い伸脚〛
これらを実施しようとすると、途端に顔をゆがめる子どもたち・・・。
そして、時に後ろに尻もちをつく場合もあります。
このは、なぜ起こるでしょうか?
これらはつまり、脚の筋肉が硬いために起こります。
例えば、写真のような“アヒル歩き”をした場合、
運動器が適切に働かないと、重心を前にもっていけません。
しゃがもうとしただけ、後方に転んでしまいます。
「上手く動かない、動けない」
から
↓
「運動を避ける」
しだいに
↓
「足首が悪くなる」+ 「膝(ひざ)が悪くなる」 +「腰が悪くなる」
また、反対側の足に負担がかかることで
⇊
「変形性関節症」という事態を招く・・・
正に“負の連鎖”が起こります。
子どもの体は、本来大人より柔軟に出来ているといわれています。
それは、大人より軟骨部分が多く、関節の歪みも少ないため、身体が柔らかいのです。
しかし、これ(←定説)が、覆ってきているのが、現状なのです。
【運動器の不全】
◎子どもの身体が硬い・・・これは、関節回りの筋肉などが、大人と同様に硬くなる、
いわゆる“運動器の機能不全”が原因です。
ところで、
運動器とは?
運動器(うんどうき)とは、動物の器官の分類の一つで、
身体を構成し、支え、身体運動を可能にする器官のことです。
つまり、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。
また、運動器はそれぞれが連携して働いており、
どれかひとつが悪くても身体はうまく動きません。
運動器の働きは?
…「身体の保持」、「外力からの保護」、「関節の運動」、「姿勢の保持」など
参照…日本整形外科学会 ロコモパンフレット2010年度版から
ここで、具体的に見えてくる“問題の部分”は、骨、筋肉、腱、靭帯です。
【問題の根源】
①生活環境の問題
左:昔ながらの日本の居住環境
右:洋式化した現代の居住環境
※それぞれ一例です。
左:昭和の時代の代表的な遊具
右:平成(現在)の代表的な遊具
※それぞれ一例です。
生活の洋式化に伴い
「“しゃがむ→立つ”の動作」
が、日常の中で明らかに少なくなっています。
安全面を重視する流れで
遊具遊びの中でも
「大きな動き、難しい動作」
が、少なくなっています。
②2極化する運動環境の問題
「運動をする子」
か
「運動をしない子」
の“両極”に分かれる傾向にあります。
この問題に関しましては、また次回以降に・・・。
「体が硬いとケガをしやすい」ということは、広く認識されています。
筋肉が硬くなると、柔軟性が悪くなります。
柔軟性が悪いと、スポーツによる衝撃の緩和能力が落ちます。
そうなりますと、肉離れを起こしやすくなったり、筋肉が骨についている部分の負担が増し、
付着部炎というものを起こします。
歳を重ねていきますと、徐々に腱の強度も弱くなります。
この状態で筋肉が硬く、衝撃緩和ができなければ、
“急激な筋の伸張に腱が負け”て、腱断裂を起こします。
踵(かかと)の上の腱が切れる、「アキレス腱断裂」は、とても有名です。
成長期に起こるオスグッド病も、このタイトネス(筋肉の柔軟性不良)が誘発します。
※その詳しくは、これまでの記事をご確認ください。
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スポーツ障害と筋肉の柔軟性には、実はとても密接な関係があります。
このたびは、筋肉の柔軟性不良について考えてみましたが、運動面には重要なポイントがあります。
「ただ、身体を動かすのではなく・・・何を意識して、どう取り組むか」
が、とても大切になってきます。
特に子どもの頃のスポーツ環境は、注意しなくてはなりません。
『的を得た、正しいトレーニング』を、施しているか否か・・・
これが、その先の成長に大きな差を残すことになります。